一般社団法人日本脊髄外科学会

本学会について
手術研修制度
English
脊椎脊髄外科専門医委員会
日本脳神経外科学会ホームページNeurospineJSTAGE
最近のお知らせ
各種 ポスター

総腓骨神経障害

総腓骨神経障害

膝のすぐ下の外側には、<腓骨骨頭>という小さな骨の「でっぱり」があります。総腓骨神経は、この「でっぱり」を外側から下側へまわりこみ、腓骨骨頭についている長腓骨筋の下を走りますが、この部分で総腓骨神経障害を起こすことがあります。足を組んだり、きついストッキングをはくことが原因となることがありますが、特に原因がなく、日常の生活動作で傷んでしまうこともあります。

<超入門。手術で治すしびれと痛み。井須豊彦、金景成 編著 メディカ出版>の図を一部改変

症状は?

すねの外側から足の甲にかけてしびれや痛みが起こり、歩くことで症状が強くなり、歩けなくなることもあります(間欠性跛行)。症状が強いと、総腓骨神経が支配している足首を持ち上げる筋肉の力が低下し、足首が上がりづらくなったり、スリッパが脱げやすくなったり、つまずきやすくなったりすることもあります。

診断は?

腓骨骨頭の下部でのチネル様徴候が有用です。MRI やレントゲンなどの検査では診断が困難で、神経に電気を流す検査(神経伝導検査や筋電図検査)でも、異常を検知できないこともあります。座った状態で足関節の曲げ伸ばしを繰り返す『足関節連続底屈試験』で、90秒以内に症状が誘発されるようであれば、総腓骨神経障害の可能性が高いです。

治療は?

足を組んでいた、ストッキングをはいていた、など原因がはっきりしている場合は、原因を除去し、ビタミン剤などの薬物治療が有効なことがあります。症状が強い場合には、手術を行うことがあります。手術は、腓骨骨頭後方から下部の皮膚を3cmほど切り、神経の表面を覆う筋膜や靭帯組織を切離する神経剥離術を行いますが、手術直後から歩くことができこともあります。

<超入門。手術で治すしびれと痛み。井須豊彦、金景成 編著 メディカ出版>の図を一部改変

ポイント

腓骨骨頭周辺で腓骨神経がつぶされているところを押したり叩くことで、しびれが起こることがあります。診断や治療を行っている病院が少ないのですが、腰の手術の後に残った症状の原因が総腓骨神経障害であることもあるので、気になる症状があった場合は専門の病院を探して受診することをお勧めします。

【執筆担当】 日本医科大学 脳神経外科 森本大二郎
日本医科大学千葉北総病院 脳神経外科 金景成

TOPページへ

「症状のある身体の部位から探す」

Page Top