外側大腿皮神経は、腰ぼねから出た神経が骨盤内を走行し、上前腸骨棘の内側で鼠径靭帯の下をくぐり骨盤外へ出たあと、大腿の前外側へ分布する感覚神経です。この神経が鼠径靭帯の周囲でしめつけられることで、太もも前外側のしびれや痛みを起こすことがあります(外側大腿皮神経障害)。きつい下着やコルセット・ベルト着用などによる圧迫、肥満などが原因となることもありますが、とくに原因がない(特発性)ことが最も多いです。
<脳神経外科速報2021年4月号(メディカ出版)>の図を一部改変
外側大腿皮神経は、腰ぼねから出た神経が骨盤内を走行し、上前腸骨棘の内側で鼠径靭帯の下をくぐり骨盤外へ出たあと、大腿の前外側へ分布する感覚神経です。この神経が鼠径靭帯の周囲でしめつけられることで、太もも前外側のしびれや痛みを起こすことがあります(外側大腿皮神経障害)。きつい下着やコルセット・ベルト着用などによる圧迫、肥満などが原因となることもありますが、とくに原因がない(特発性)ことが最も多いです。
<脳神経外科速報2021年4月号(メディカ出版)>の図を一部改変
外側大腿皮神経が感覚を支配している大腿の前外側部に、痛みやしびれが出現します。
立位や歩行で症状が出たり、悪化しやすいので、腰椎疾患と間違われることも多いです。
ちなみに、この神経は感覚神経であり運動はつかさどっていないために、この病気では下肢の脱力はおこりません。
上前腸骨棘内側で鼠径靭帯によりつぶされている外側大腿皮神経を指で圧迫すると症状が誘発されるチネル様徴候が参考になります。MRIなどの画像や電気を流す検査(神経伝導検査)では異常を検知することが難しいのですが、外側大腿皮神経ブロックによって症状が消失するかどうかを確認することが診断には有用です。
きつい下着やコルセット・ベルト着用など、誘因となっている原因がはっきりしている場合はその要因を除去します。また、ビタミン剤などの薬物療法や外側大腿皮神経ブロックが有効な場合があります。これらの保存的治療で症状が改善しない場合には、手術も検討されます。手術は、神経を圧迫している鼠径靭帯を切離するなどして圧迫をとる神経剥離術を行います。単純な神経剥離術であれば、局所麻酔下に1時間ほどで手術が可能なこともあります。
<超入門。手術で治すしびれと痛み。井須豊彦、金景成 編著 メディカ出版>の図を一部改変
【執筆担当】 | 日本医科大学 脳神経外科 森本大二郎 日本医科大学千葉北総病院 脳神経外科 金景成 |