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殿皮神経障害

殿皮神経障害

上殿皮神経は腰骨の神経に由来し、殿部頭側の感覚を支配します。上殿皮神経が、ズボンのベルト付近で腸骨を乗り越えるあたりで、筋膜などによりつぶされると腰痛の原因になります。一方、中殿皮神経は骨盤の神経に由来し、殿部内側の感覚を支配します。中殿皮神経が仙骨と腸骨の間の関節(仙腸関節)の背面で長後仙腸靭帯の深部を通過する部位でつぶされると、殿部痛の原因になります。

これらの殿皮神経障害は、腰痛の原因として近年注目されている病気ですが、診断、治療している病院が少ないのが欠点です。

<脳神経外科速報 28(3) 2018 年 (メディカ出版)>の図を一部改変

症状は?

上殿皮神経障害は、ズボンのベルトあたりを中心とした腰痛で、中殿皮神経障害は殿部内側の痛みです。これらは、腰骨の病気と似た下肢痛を来しやすく、腰をひねったり、起き上がったり、長く歩いたりすることで痛みが強くなるので(間欠性跛行)、腰椎の疾患からくる症状と間違えられやすいと言われています。

診断は?

上殿皮神経障害は腸骨上を、中殿皮神経障害は仙骨わきを押すと、それぞれ強い痛みがあります。押して痛みがあるところで神経が圧迫されており、その部位に局所麻酔を注入する殿皮神経ブロックによって痛みが改善することにより診断されます。MRIやレントゲンなどの検査では異常は見つけることができません。

治療は?

安静、コルセットの装着、各種の鎮痛剤、理学療法などの一般的な腰痛治療で効果がない場合は、殿皮神経ブロックを行います。殿皮神経のブロックで一時的に効果があるものの、その後に再発してしまう場合には、手術を行うことがあります。手術は、神経をつぶしている靭帯や筋膜を切開し神経の圧迫をとる神経剥離術を行います。1時間程度で行うことができ、術後の安静期間を要さない場合もあり、体への負担が少ない手術です。

<超入門。手術で治すしびれと痛み。井須豊彦、金景成 編著 メディカ出版>の図を一部改変

ポイント

腸骨上に押すと強く痛むところがあるので、一般の方でもある程度は自分自身で診断ができますが、診断や治療を行っている病院が少ないのが欠点です。

【執筆担当】 日本医科大学 脳神経外科 森本大二郎
日本医科大学千葉北総病院 脳神経外科 金景成

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