足へむかう坐骨神経は、骨盤から出るところで梨状筋という筋肉の下を通ります。この梨状筋は通常は柔らかいのですが、負担がかかるなどが原因となり梨状筋が硬くなると、おしりに痛みを起こしたり、近く走行する坐骨神経をつぶして足のしびれを起こしたりします。このような病気を梨状筋症候群といいます。みかけることが少なくない病気ですが、診断、治療している病院が少ないのが欠点です。
<超入門。手術で治すしびれと痛み。井須豊彦、金景成 編著 メディカ出版>の図を一部改変
足へむかう坐骨神経は、骨盤から出るところで梨状筋という筋肉の下を通ります。この梨状筋は通常は柔らかいのですが、負担がかかるなどが原因となり梨状筋が硬くなると、おしりに痛みを起こしたり、近く走行する坐骨神経をつぶして足のしびれを起こしたりします。このような病気を梨状筋症候群といいます。みかけることが少なくない病気ですが、診断、治療している病院が少ないのが欠点です。
<超入門。手術で治すしびれと痛み。井須豊彦、金景成 編著 メディカ出版>の図を一部改変
おしりの外側あたりの痛みが主体ですが、太ももの後面にかけてしびれが出ることもあります。長く座っていると症状が強くなり、歩くと楽になることもあります。草むしりなどの中腰姿勢や、ゴルフなどのスポーツ、長時間の運転など、梨状筋に負担のかかるようなことで症状が出てきます。
梨状筋部を圧迫すると、通常は触れない梨状筋がコリコリと触れ、足の後ろ側に痺れや痛みが誘発されるチネル徴候も有用です。MRIでは、梨状筋が肥大している場合がありますが、多くの場合は異常を認めることは困難です。梨状筋に局所麻酔薬を注入する梨状筋ブロックによって症状が軽くなることが、診断の大きな手掛かりになります。
<超入門。手術で治すしびれと痛み。井須豊彦、金景成 編著 メディカ出版>の図を一部改変
座位の際に殿部を圧迫しないように心がけるなど、症状が誘発されるような日常動作を避けるようにします。また、筋緊張緩和剤などの薬物療法や、梨状筋ストレッチを行います。症状が強い場合には、梨状筋ブロックが効果的ですが、ブロックにより数時間、足に力が入りにくくなり、歩けなくなることがあります。これらの治療で効果が乏しい場合には、手術を行うこともありますが、手術が必要となることは、多くはありません。
通常ふれない梨状筋が、コリコリと触れ、同部に痛みを伴うため、一般の方でもある程度は自分自身で診断ができます。
【執筆担当】 | 日本医科大学 脳神経外科 森本大二郎 日本医科大学千葉北総病院 脳神経外科 金景成 |