一般社団法人日本脊髄外科学会

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腰椎分離症・分離すべり症

腰椎分離症・分離すべり症

腰椎分離症の多くは、まだ腰椎(腰の骨)が柔らかい学童期に、スポーツ等の活発な活動が原因となり発症する疲労骨折と考えられています。分離(疲労骨折)が生じやすい部位は、背骨の関節突起間部と言われる部位で(図1の赤矢印)、第5腰椎に多いことが知られています。従って、スポーツ等に取り組む学童に腰痛が続く場合は、腰椎分離症の可能性を考えます。

腰の骨の模型で赤線により示したところが疲労骨折を起こします(一番左の写真)。CTの左と真ん中の写真では、それぞれ後方からと左斜め後ろから見ています。赤矢印の部位で骨が分離しており、白矢印で示す骨が前方移動(これを「すべり」と表現する)しています。右の図はそのすべりを矯正して、チタン合金製のネジ(スクリュー)とロッドと呼ばれる棒で固定した手術後のCT画像です。

診断はCTが有用ですが、MRIではレントゲンやCTでは分からない骨折前の早期の変化を捉えられることがあります。治療としては、早期にはまずしっかりしたコルセットを装着して運動を制限することにより、骨折した部分がくっつくことが期待できるので、活発な児童に腰痛が持続する場合には、脊椎専門医の診察を受けることが大切です。
しかし、運動制限を行っても、骨折部が癒合せずに分離したままになってしまった場合、分離した部分で腰椎にずれが生じてしまう可能性があり(これを「すべり」と表現し、この病態を「分離すべり症」と言います)、遷延する腰痛の原因になってしまう場合や、腰椎の中を通っている神経が圧迫されて下肢の痛みやしびれが生じてしまうこともあります。このような症状が出た場合、神経痛や腰痛に対する内服治療等で経過をみますが、症状が強い場合や、治療効果が得られない場合には、手術により背骨の一部を削って神経の圧迫を取った後にインプラントで背骨を固定する治療を行う場合もあります(図1)

【執筆担当】 脳神経センター 大田記念病院 脊椎脊髄外科 大隣 辰哉

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