一般社団法人日本脊髄外科学会

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脊髄腫瘍(硬膜内髄外腫瘍)

硬膜内髄外腫瘍

硬膜内で脊髄の外に存在する腫瘍です。これらの腫瘍は、硬膜内スペースで脊髄や神経根を圧迫します。組織学的には、神経鞘腫 schwannomaが最も多く、次に髄膜腫 meningiomaが続き、類皮腫、類上皮腫、転移性腫瘍などがあります。

神経鞘腫・神経線維腫について

神経鞘腫は、全脊髄腫瘍の約30%を占め、最も頻度の高い腫瘍です。神経根より発生する腫瘍であり、多くは後根由来です。基本的に良性腫瘍ですが、神経根由来の痛みや、脊髄を圧迫して手足の麻痺を起こします(図4)。神経根に沿って発育するため、硬膜の内外や、硬膜外に存在することもあります。稀に、脊髄内に発育する場合もあります。腫瘍は緩徐に増大するため、脊柱管や椎間孔の拡大がみられる場合があります(図5)。神経線維腫も、神経鞘腫と同様に神経根から発生する良性腫瘍ですが、画像診断では神経鞘腫との鑑別は困難です。

(図4)脊髄硬膜内髄外腫瘍

(図4)脊髄硬膜内髄外腫瘍

(図5)亜鈴型の神経鞘腫でみられる椎間孔の拡大

(図5)亜鈴型の神経鞘腫でみられる椎間孔の拡大

髄膜腫について

髄膜腫は、全脊髄腫瘍の約20%を占め、2番目に頻度の高い腫瘍です。硬膜から発生する腫瘍であり、基本的に良性腫瘍です。中高年の女性の胸椎レベルに発生頻度が高い腫瘍です。脊髄を圧迫して、脊髄症状(手足の「しびれ」、歩行障害、脱力など)を示します。

(図6)髄膜腫の画像と術中所見

(図6)髄膜腫の画像と術中所見

診断

硬膜内髄外腫瘍の診断には、神経学的診察とともに、X線撮影、CTscan、MRIなどが行われます。X線撮影では、椎間孔の拡大が描出されることもあります(図5)。CTでは、腫瘍の石灰化や、脊椎変化が認められる場合があります。MRIでは、腫瘍が描出されて脊髄への圧迫程度も確認できるため、有効な検査法となります。確定診断は、原則、手術で腫瘍組織を採取し、病理組織診断を行うことが必要です。

治療

腫瘍の性質によって大きく異なります。頻度の高い神経鞘腫や髄膜腫では、症状が明瞭な場合や脊髄への圧迫が高度の場合には、手術によって腫瘍の摘出を行います。また、症状は軽度であっても、診断を確定するために手術を行う場合もあります。一方、全く無症状で偶然に発見された場合には、特に治療はせずに経過を定期的に観察する場合もあります。
手術は、通常、後方からアプローチして、椎弓切除(あるいは椎弓形成)を行い、硬膜を切開して腫瘍を摘出しますが、腫瘍と脊髄との位置関係や、脊椎のレベル、腫瘍のサイズなどで手術方法は異なります。

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