脊髄は、脳から連続する中枢神経であり、人体の中心部では背骨の中の空間(脊柱管とよばれます)に保護されるような形で存在しています。背骨は脊椎ともよばれ、頚椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)、仙椎(5個の骨が癒合)、尾骨(3-5個が癒合)で構成されていて、これらがヒトの身体の支柱となっています。中枢神経である脊髄は、頚椎から第1腰椎の高さまで存在し、その下方には末梢神経である馬尾神経が存在します(図1)。
(図1)脳、脊髄、脊椎の位置関係
脊髄は、脊柱管というトンネルの中で、頭蓋内から連続している硬膜という丈夫な袋の中に入っています。硬膜の内側には半透明の薄い膜であるクモ膜があります。クモ膜の内側は脳脊髄液で満たされており、この脳脊髄液の中に浮くように脊髄が存在しています。
脊髄からは、それぞれの脊椎で左右一対ずつ枝分かれして神経根(前方は運動神経である前根、後方は知覚神経である後根です)という末梢神経に枝分かれしています。これらの神経根は、椎間孔という比較的狭い骨の間隙から脊柱管の外に出て、身体の筋肉や臓器に分布します(図2)。
(図2)脊椎、脊髄、神経根の関係
脊髄に発生した腫瘍を脊髄腫瘍といいます。通常、腫瘍の発生した部位によって、①硬膜外腫瘍、②硬膜内髄外腫瘍、③髄内腫瘍の三つに分類されます。