椎骨と椎骨との間に挟まれた椎間板が破綻し、飛び出した椎間板の内容物が脊髄や神経根を圧迫することによって様々な症状が生じる病気です(図3)。タイヤのパンクのように、ある日突然に発生します。
おもな症状は、急に生じた首の痛み(寝違えたような痛み)に引き続いて生じる、腕や手指のしびれや痛みが特徴的ですが、腕や手指の脱力が生じることもあります。飛び出した椎間板の内容物が大きく、脊髄を圧迫すると、脊髄症のように巧遅運動障害や歩行障害が生じることもあります。
検査は、レントゲン撮影やCT、MRIなどが行われ、頚椎の椎間板ヘルニアがあり、脊髄や神経根が圧迫されていることを確認します。その結果から、圧迫を受けている脊髄や神経根の位置に矛盾しない症状が出現している場合、その頸椎椎間板ヘルニアが症状の原因であると診断します。
腕や手指のしびれや痛みのみ場合には、薬の服用や安静、理学療法などの保存的治療で軽快することが少なくありません。ただし、症状が悪化することもあり得るので、十分な観察を行う必要です。腕や手指のしびれや痛みの改善が十分でない場合や、筋力低下を伴った場合、手指の巧緻運動障害、歩行障害などの症状や身体所見が見られる場合には、手術治療を検討する必要があります。
