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脊髄腫瘍(髄内腫瘍)

髄内腫瘍

脊髄の中に外に存在する腫瘍です(図7)。脊髄は中枢神経であり、脳に発生する腫瘍の大部分が脊髄にも発生します。組織学的には、神経膠腫が最も多く、血管芽腫、脂肪腫、髄内神経鞘腫、海綿状血管腫、転移性脊髄内腫瘍などがあります。

(図7)脊髄髄内腫瘍

(図7)脊髄髄内腫瘍

神経膠腫について

神経膠腫には多くのタイプがあり、組織型によって腫瘍の進行や悪性度が異なります。このうち、上衣腫が成人では最も頻度の高い髄内腫瘍です。脊髄の中央に存在する腫瘍ですが、脊髄円錐部では脊髄外にも伸展します。腫瘍の周囲には空洞(嚢胞)を伴うことが多いです。腫瘍の圧迫によって脊髄症状(手足の「しびれ」、歩行障害、脱力など)を示しますが、症状は緩徐に進行します。しかし、腫瘍内や周囲に出血を生じた場合は、症状が急速に進行することもあります。次に頻度が高い髄内腫瘍は、星細胞腫です。この腫瘍は周囲の脊髄組織に浸潤性に発育することが多く、その悪性度は4段階(グレード1から4)に分けられています。

(図8)脊髄神経膠腫の画像

(図8)脊髄神経膠腫の画像

診断

診断には、神経学的診察とともに、MRIが有効な検査法となります。造影剤を用いたMRIは、脊髄内での腫瘍の存在診断と、その性質の判断に有用です。脊髄髄内腫瘍では、脊髄が腫大する場合が多いですが、脊髄が腫大する病変は髄内腫瘍以外にも多くの疾患があります。それ故、神経学的診察と各種画像検査の結果や、症状の経過を併せて、総合的に診断します。確定診断には、手術で腫瘍組織を採取し、病理組織診断を行う事が必要です。

治療

腫瘍の摘出が可能なものと、困難なものがあり、治療法は腫瘍の性質によって大きく異なります。
上衣腫は、手術用顕微鏡下の手術にて、脊髄の後正中切開を行い、全摘出あるいは亜全摘が可能です。部分摘出の場合、術後に放射線治療を追加する場合もあります。
星細胞腫は、正常脊髄組織との境界が不明瞭のことが多く、手術用顕微鏡下の手術でも全摘出は困難で、腫瘍の可及的摘出が行われます。腫瘍の摘出度と、病理組織診断によって術後の治療方針を決めます。腫瘍の悪性度がグレード1および2では、残存腫瘍が多い場合は放射線療法や化学療法を追加することがありますが、残存腫瘍が少ない場合は経過観察とする場合もあります。腫瘍の悪性度がグレード3および4では、放射線治療や化学療法を追加します。
血管芽腫は、手術用顕微鏡下の手術で全摘出が可能です。海綿状血管腫は、髄内の出血による症状を示している場合には、手術用顕微鏡下の手術での摘出術を行います。転移性髄内腫瘍では、経過から診断が明らかな場合は、手術を行わずに放射線治療を行うこともあります。

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